ごあいさつ
会員の皆様におかれましては、ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
日本官能評価学会2015年度大会のメインテーマは、「人の行動と嗜好」に決定しました。
今、社会全体が目まぐるしく変化しています。その中で、人々のライフスタイルは大きく変化し、日常の行動も多様化しています。マーケットでは、少子高齢化や若者達のモノ離れ・消費離れが進行しているとも言われています。一方で、マーケットにおいてはますます細分化が進み、消費者のニーズを掴むことが難しくなっています。人の行動は、その取り巻く環境によって規定されると言われる中で、ものづくりの最前線では、この変化に柔軟かつ迅速に消費者の求める製品やサービスを手探りで思案し、その要求に応えようとしています。しかし、消費者の無意識の行動や、潜在化したニーズにアプローチするのに従来の調査手法では限界があり、容易には実態を捉えることができません。かつての高度経済成長期には、新商品を使うことにより単純に使用価値というかたちで消費者のニーズは充足されました。しかし、現在はむしろ製品への付加価値に、他者とは異なる自分らしさを求めており、今後更に新しい時代に向け、その行動を変容させていくものと思われます。
今回、このような私たちの日常の行動の背景や、発言と行動のギャップまたその理由など五感や感性を通して経験する認知や嗜好の問題を、官能評価や商品開発の角度から検討してみたいという趣旨で、今回のテーマになりました。多くの皆様方の参加と共に、人の様々な行動が相互に反応しあう姿について、活発なご議論を切望しております。
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日本官能評価学会
会長 小塚 彦明