ごあいさつ
会員の皆様におかれましては、ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
日本官能評価学会は、1996年11月に設立されて、昨年2015年度大会は第20回と記念すべき大会になりました。2016年度は、一般社団法人化を目指しており、更に成長した学会の姿を皆様にお見せできるものと思っております。
今年度の大会のメインテーマは、「官能評価に関わる先進技術」に決定しました。
官能評価は一般的にはモノづくりの手段であり、従来実学分野の研究が目立ってきました。その多くの場合、日常語を介して人の意識を測ってきましたが、無意識の行動など人の潜在意識については言葉を介して測ることが難しく、従来の調査手法に限界を感じてきました。
一方、今日、日本の科学や技術は目覚しい進歩を遂げました。センサーやIT技術なども導入されて、まさに先進技術花ざかりです。そこには、論理性や再現性といった科学の原理が担保されていることでしょう。また、科学や技術は、一面感情に流されない合理性を持っています。それゆえに、人々の習慣や文化に対して、矛盾や衝突を繰り返すこともあります。それでも、社会を変革していく強い力を持っていることには疑う余地もありません。ただ、科学や技術を高みに導き前進させるのは、感情を持った人間であることも忘れてはなりません。先進技術は往々にして、科学言語ではまだわかっていない部分も無限にあるため、日常我々が使うイメージをもった言葉から乖離することもあるように思います。もしかして、官能評価のデータを理解するところは、人がもっと主体的に関わって定性的・感覚的になればよいのかもしれません。何れにしろ、官能評価と先進技術の理解と相互作用が更に進展することを期待するものです。
今回、私たちが日常五感や感性を通して経験する認知や嗜好の問題を、先進技術という新たな切り口から提示していただくことにより、多くの気づきを共有したいという趣旨で、今回のテーマになりました。多くの皆様方の参加と共に、先進技術で切り開く明日の官能評価の姿について注目し、活発なご議論を切望しております。
-
一般社団法人日本官能評価学会
会長 小塚 彦明