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ごあいさつ

 会員の皆様におかれましては、ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
 日本官能評価学会は、2016年9月に一般社団法人として登記され、同年11月13日(日本女子大学目白キャンパス)の大会にて、従来からの任意団体を満場一致で解散決議いたしました。2017年は、一般社団法人化後最初の大会となり、更に成長した学会の姿を皆様にお見せできるものと思っております。
 今年度の大会のメインテーマは、「臨場感と官能評価」に決定しました。
 官能評価は、従来モノづくりの現場においては、品質の設計やその作り込みの手段として、一方市場においては消費者の受容性を評価する手段として研究が進められてきました。そのいずれにおいても、基本的には言葉を介して人の意識、あるいは前意識を測ることでした。しかし、消費者の購買行動など無意識の行動など人の潜在意識については言葉を介して測ることが難しく、従来の調査手法に限界を感じてきました。近年、人の生理、および脳機能の応答から、五感による官能評価の結果を、より客観的に理解する目覚しい技術が発展して参りました。センシングや情報処理技術などの先進技術が導入されて、本人でさえ意識できない潜在的な認知過程が推定できるところまできているとのことに、驚きとワクワクした感動を覚えます。官能評価では、人が過去に経験したことの記憶と、現在経験している状況から予測や想像に近いことを感じ取ったり、また両者のギャップを感じたりすることがしばしばです。それがいわゆるバイアスとなり、時には感じ方や行動にも変化を与えることがあります。人はつまるところ、日常的に外部の環境と折り合いながら、五感を通して体験して得た情報を脳内で再構成して、評価するなり行動するなりしていると考えられます。流動的な市場や社会を変革していく強い力を持っているのも、このような感覚を持った人であることも忘れてはならないところかと思います。
 一方、センシングや情報処理技術などの先進技術は、勘と経験が残る作り手側の多くの産業プロセスを、客観的に解明し、効率化することが期待されます。長年にわたって培われてきた職人の技は、価値のあるものですが、その言葉は日常我々が使うイメージをもった言葉から乖離することも、よくあることかと思います。それらを先進技術の切り口から、作り手や使い手の五感の世界をみずみずしい臨場感をもって提示していただくことにより、多くの気づきを共有したいという趣旨で、今回のテーマになりました。多くの皆様方の参加と共に、先進技術で切り開く明日の官能評価の姿について注目し、活発なご議論を切望しております。

  • 一般社団法人日本官能評価学会
    会長 小塚 彦明

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